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2006年8月24日 (木)

冥王星

冥王星が惑星ではなくなると話題になっている。

冥王星とは、ギリシャ神話のプルート(ギリシャ語でハーデス)から付けられた名前で、冥界(死者の世界)の王である。9つの惑星の中では一番新しい発見であり、1930年に米アリゾナのローウェル観測所のトンボー氏が発見した。大きさは月より小さい直径2320 km。(ちなみに月の直径は3476 kmで、重量(重力など関係ないから本当は質量)は月の18%) 

ところで、カイパーベルト衛星(Kuiper Belt Objects - KBO)と言うのを、ご存じでしょうか?1992年にハワイ大学のJewitt氏とカリフォルニア大学バークレーのLuu氏がハワイ・マウナケア山の2.2m望遠鏡で最初のカイパーベルト衛星QB1を発見し、その後多くのカイパーベルト衛星が発見されているのです。なお、海王星より遠いところにある衛星をカイパーベルト衛星と呼び、木星と海王星の間にある衛星をケンタウルス衛星と呼んでいる。どれくらいの数が発見されているかというとをList Of Centaurs and Scattered-Disk Objectsを見て下さい。発見されていないのが大多数であるが全部で70,000個以上あるだろうと言うのだ。冥王星をカイパーベルト衛星と呼んでも、不自然ではなくなってしまったのです。

恒星(Star)とは太陽のように自ら光る星。惑星(Planet)とは恒星を回る星。衛星(Satellite)とは惑星を回る星。もし、このように整理すると、実はハレー彗星のような彗星(Comet)や小惑星(Meteor Astronomy)も良く知られている。何を惑星というのか、何故9つの天体(水金地火木土天海冥)を惑星と呼んだのか、訳もわからずに呼んでいたように思える。

以上が、国際天文学連合(IAU - INTERNATIONAL ASTRONOMICAL UNION)が本日惑星の定義について決議しようとしている背景である。決議案そのものは、下の続きを読むに入れておきました。(出所:IAUホームページ)

実は、私はこれを読んで、4つの決議案の全てが採択されても、矛盾を感じないのです。少なくとも5Aは採択されるのでしょう。従い、以下で間違いないと私は思っています。

(1)太陽系の惑星は8つである。(5Bが採択されれば、古典的惑星と呼ぶこととなる。)

(2)太陽を回る天体は、惑星(planet)、小惑星(dwarf planet)、太陽系小天体(Small Solar System Bodies)の3分類となる。(訳は私が勝手に行っているので、正式日本語名とは限りません。)

(3)冥王星は小惑星(dwarf planet)に含まれる。

何故か、新聞やTVの報道は私の上記の見解とは異なっているのが多そうである。報道が正しいか私の説明や見解が正しいか、皆さん是非チェックしてみて下さい。私に誤りがあった場合は、厳しいお叱りをコメントに書き込んで下さい。

ビジネスでは、報道をそのまま信じるのではなく、その情報源にまで遡って調査することが重要であり、勝ち抜くために必要なことであると考えております。

各新聞社の表題及び記事を以下に列挙しておきます。クリックすれば、それぞれの記事が開きます。降格なんて嫌な単語を使っている会社がありますね。

朝日:冥王星降格案が基本、惑星定義最終4案 24日採決

日経:「冥王星」降格に対抗案・国際天文学連合

毎日:太陽系惑星:冥王星除外で最終調整 IAU、今夜全体会合

産経:冥王星、格下げか 太陽系惑星、今度は8個に

読売:天文学連合会長、惑星数で2案提出へ…8個と11個

共同通信:惑星定義で2案採決へ 冥王星残す対抗案も提案

IAU Resolution: Definition of a Planet in the Solar System
Contemporary observations are changing our understanding of planetary systems, and it is important that our nomenclature for objects reflect our current understanding. This applies, in particular, to the designation 'planets'. The word 'planet' originally described 'wanderers' that were known only as moving lights in the sky. Recent discoveries lead us to create a new definition, which we can make using currently available scientific information.

RESOLUTION 5A
The IAU therefore resolves that planets and other bodies in our Solar System be defined into three distinct categories in the following way:

(1) A planet1 is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.

(2) A dwarf planet is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape2, (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.

(3) All other objects3 orbiting the Sun shall be referred to collectively as "Small Solar System Bodies".

RESOLUTION 5B
Insert the word "classical" before the word "planet" in Resolution 5A, Section (1), and footnote 1. Thus reading:

(1) A classical planet is a celestial body . . .

and

IAU Resolution: Pluto
RESOLUTION 6A
The IAU further resolves:

Pluto is a dwarf planet by the above definition and is recognized as the prototype of a new category of trans-Neptunian objects.

RESOLUTION 6B
The following sentence is added to Resolution 6A:

This category is to be called "plutonian objects."


1The eight planets are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune.
2An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories.
3These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.

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コメント

はじめまして。細かいことで恐縮ですが、文中にもあるように衛星とは「惑星を回る星」だと思いますので、「カイパーベルト衛星」や「ケンタウルス衛星」というのは違和感をおぼえます。

投稿: ほし | 2006年8月25日 (金) 03時53分

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