« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »

2006年9月26日 (火)

健康なこころとからだ

本日(9月26日)の朝日新聞の天声人語は小泉首相の退任を書き出しとしてのコラムでした。

その中に、次の三輪和雄氏の『病める政治家たち』より引用した文章が入っていました。

脳神経外科医・三輪和雄著『病める政治家たち』(文芸春秋)に、こんなくだりがあった。「成人病(がん・心臓病・脳卒中)のサンプルを眺めているような気がする。強烈な欲望、攻撃性、多忙、上昇志向などが、いかに人間の身体を蝕(むしば)んでいくか、の典型をみることができる」

強烈な欲望、攻撃性、多忙、上昇志向というのは、政治家に限らず、ビジネスマン・ウーマンにも見受けられるのではと、思ったのです。ビジネスでの成功の秘訣として、押しの強さという点が言われることがあります。成功している人には、人よりも強い欲望や上昇志向を持った人が多いと思います。

必ずしも、悪いことではないでしょう。でも、強すぎると何かを攻撃せざるを得なくなる。自分の体や心を蝕むことになっていないか、常に考えておくことが必要だなと思ったのです。

三輪和雄氏の『病める政治家たち』を、私も読んでいないのですが、多分の次の本と思います。

病める政治家たち―病気と政治家と権力
Book
病める政治家たち―病気と政治家と権力
著者 三輪 和雄
販売元 文藝春秋
定価(税込) ¥ 2,039

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月25日 (月)

独リニア事故

(1)独リニア事故の原因

独リニア事故の、直接の原因は管制センターの人為ミス(共同通信記事)ということなのであろう。

(2)安全システムはどうなっていたのか?

しかし、人為ミスで済ますことが出来るとは思わない。例えば、仮にこれが在来線であったならば、メンテナンス・カーとかサービス・カーとかいう車両が線路内に入っていれば、信号機が作動して万一特急列車が後ろから来ても信号機に気が付いて停車したはずである。新幹線でも、基本的には同じで、信号機がなくても列車の運転台に前に何かがいることを知らせて自動減速が働いたのであろうと思う。

おそらく独リニア実験線でも安全システムは備わっていたのだろうと思う。人為ミスは、人間である以上は、ゼロには出来ない。人為ミスがあっても、それをカバーするシステムを備えることで安心して利用できるのである。

独リニア事故は、リニア鉄道で事故が起こった場合、多人数の死亡事故を伴う可能性があることを示唆したものと考える。

(3)リニア鉄道の実現は何時か?

独リニア事故は、一方で、この問いかけを投げたものと思う。

なお、リニア鉄道とは磁気浮上方式でリニア・モーターで走行し500km/h以上の速度で走行する鉄道を意味するものとします。(リニアという言葉自身はリニア・モーターを意味し、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線や都営地下鉄大江戸線の様に通常の方式(鉄輪式)のリニア鉄道も存在することからです。なお、独リニア鉄道は、JRリニア鉄道が超伝導コイルを使用するのに対し、常温の通常方式の電磁石を使用する点が異なっていると理解しています。)

現在、リニア鉄道として実際に運行されているのは2004年から中国で上海空港と市内の間30kmを最高速度430km/h、所要時間8分で走っている列車のみです。

実験・実証鉄道線としては、この事故が起こったエムズランド実験線(31.5km)やJR山梨実験線の先行区間(18.4Km)があります。又、磁気浮上方式ではあるが、最高速度100km/hで走行していた愛知万博リニモ(8.9km)があります。

これら以外としては、1984年から1995年まで運行をしていた英国バーミンガム空港線(600m)があります。運転を止めた理由は、信頼性の問題とのことです。

ところで、リニア鉄道の実現が近いかというと、この事故の直前9月20日のBBC NewsShould UK trains look to magnets?などは英国におけるリニア鉄道の実現性について疑問を投げかけています。即ち、以下の問題点があるとの指摘です。

  1. 技術未成熟
  2. 他鉄道との相互乗り入れ不可能
  3. 巨額建設費

フランスにおいては、TGVが1981年に運行が開始された。TGV専用軌道もあるが、軌道幅(レールゲージ)がヨーロッパの標準軌道幅であることから、在来線にもそのまま乗り入れが可能である。例えば、英仏トンネルを通りロンドン・パリ間を3時間以内で走る。在来線の延長線上にある優位性が発揮できる。こういうことからTGVは、急速に普及したと考えます。

(4)日本のリニア

日本においてはリニア中央新幹線計画として東京都を起点に,甲府市,名古屋市,奈良市付近を経過地とし大阪市に至る延長約500kmのリニア鉄道の計画があります。60%がトンネルであり、総建設費は車両を含めて10兆円との試算があります。現在の新幹線1kmの建設費が70億円であるとすると、3倍の建設費となります。

運行経費は不明ですが、建設費の償却経費・資金コストを含めるとやはり現在の新幹線より高い運賃でないと採算が採れないのではと思います。リニア中央新幹線がほとんどトンネルであるとすると中途駅は余りないと思えます。仮に山の中に駅を作っても、そこからの交通手段を確保する必要があるはずです。又、既存の東海道新幹線は残るでしょうし、仮にリニア中央新幹線が完成して東京・大阪間を1時間で結んだとして1時間半ほど早くなるだけ。

私は、日本でのリニア鉄道の実現は不明というのが実状と思うのです。

(5)中国リニア鉄道

世界中で最も活気がある中国で最初の長距離リニア鉄道が敷設されるのではないかと思えるのです。例えば、上海・杭州間160kmの計画があります。中国には未だ新幹線がないのであり、これから建設するならリニア鉄道を採用することが考えられると思うのです。

ヨーロッパでのリニア鉄道実現が遠ざかることになれば、独のリニア鉄道の技術を中国が買ってしまう。それを中国が発展させて実用化する。そんな可能性もあるのではと思ったのです。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年9月21日 (木)

石油値下がり-値下がりによる損失?

(1)ガソリン値下げ

ガソリン値下げのニュースが始まりました。

例えば、共同通信ガソリン前週比10銭安 約3カ月ぶり値下がり、日経ガソリン店頭価格、13週間ぶりに下落・レギュラー144円 です。

(2)原油価格値下がり

ところで、原油価格も下がっているのです。ニューヨーク商品取引所(NYMEX)の1月先物原油は、9月19日の終値で1バレル61ドル66セントでした。7月14日に天井をつけて8月8日以降は下がりました。http://www.wtrg.com/daily/crudeoilprice.htmlのこの1年間の原油価格の推移を以下に掲げておきます。

Nymexcrude2006920_1

(3)ガス価格値下がり(米国の話し)

米国の天然ガス価格も下がっています。同じチャートですが、ヘンリー・ハブ価格で百万BTU当たりの価格を単価としています。ヘンリー・ハブとは、米国ルイジアナ州にある9つの州間ガスパイプラインと4つの州内ガスパイプラインが集まっておりガスをパイプラインからパイプラインに受け渡しが可能な基地です。

Henryhub2006920ngspot

(4)アマランス(ヘッジ・ファンド)の破綻

米国での経済ニュースのトップがアマランスの破綻です。日本語の記事を探したところ朝日新聞の米ヘッジファンドのアマランス、天然ガス価格下落で巨額の運用損が最も詳しいようです。

昨日あたりのニュースでは損失額30億ドルと言ったような金額の記事が多かったのですが、今は60億ドル(7千億円)の損失と報じている記事もあります。例えば、このbloombergのAmaranth Says Losses Rise to $6 Billion After Transfer, Sales です。英語の記事は、検索すれば沢山見つかるはずです。これGas Trade Burns Amaranth などは比較的まとまっていると思いました。

アマランスはガス価格がこれほど下がらないと見込んで、ガス売買取引で利益を得ようとしたのです。その際、投資家からの資金だけでのガス量による売買差では利益が小さいとして借入金も絡めて取引量を大きくし、リターンも大きくなるようにと目論んだようです。そして、単に取引所での売買のみではなく、ある期間の定期販売契約様なものも絡めて。いずれにせよ、相当複雑な取引を関係させているはずです。

(5)日本の関係は?

ヘッジ・ファンドには当然のこととして資金運用を依頼・委託している資金提供者がいます。アマランスも100億ドル近い資産を有していたとのことであり、相当巨額の資金がアマランスで資金運用されているのです。アマランスへの投資家としては、サン・ディエゴの年金基金が約1.6億ドル(190億円)運用していたとの報道があります。目下の処、日本の投資家や年金基金等の名前は、出てきていませんが、もしかしたら出てくるかも知れないと思うのです。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

プロジェクトX と 日本人

New Yort Timesを見ていると、品質低下に悩む日本人(Japanese Fret That Quality Is in Decline)というMartin Facklerの記事がありました。

記事はここです。(NYTimesに登録しなくても読めると思うのですが)

記事の冒頭の文章が”Perhaps only in Japan could a television series like “Project X” have become one of the most popular TV shows.”で始まっていました。

製造業でのチャレンジ・成功が人々の人気を集める日本という特有な国といったニュアンスで、私はこの表現を理解したのですが。1950年末頃からを日本の高度成長期と呼べばよいと思うのだが、製造業が日本のGDP・経済成長の牽引車であった。原料を輸入して、製品を国内需要と輸出に振り向けた。地形も海に面している島国で、大型船が入港できる港湾建設が可能で輸出入の運賃も安く加工貿易に有利である。今や、日本の自動車メーカーは嘗ての米国自動車産業ビッグ・スリーを脅かしている。

製造業は、今のある程度以上の年代の多くの人にとって、人生の誇りであり、生きてきた証のようなものであると思う。そんな自分たちの身近な人々こそヒーローである。身近なヒーローが活躍してくれるプロジェクトXは、最も共感を憶えるTV番組となっていると思う。

未だ、自動車やエレクトロニクスといった分野で日本が製造業の世界的なトップランナーとして活躍する。しかし、一方で、従来のような製造業がその全てといった時代から変化すると思う。現在、中国は嘗ての日本が経験した以上のスピードの高度成長期の中にいると考える。日本は高度成長を終えたのであり、製造業が無くなるわけではないが、どのような産業構造になっていくのだろうか。

多分紆余曲折があるのであろう。上記のような議論は、10年以上も前から皆思っているよとの反論があるだろう。プロジェクトXの人気がなくなる日を思い浮かべてみた。「プロジェクトXて何が面白いのだろう?」そう思えるようになった時が、製造業を中心とした時代が終わって次の新しい時代に入ったときなのだろうと思った。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月18日 (月)

看護師の仕事

朝日新聞の9月16日のBeeに日野原重明氏がコラムで麻酔看護師のことを書いておられました。

日野原氏のコラム記事

麻酔看護師が活躍できるのは米国のことで、日本では残念ながら、8月27日の私のエントリー「堀病院」事件(その2)で紹介した様に、保健師助産師看護師法が看護師を傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者と規定していることから、看護師が麻酔をしたら直ちに警察に捕まることとなる。

日野原氏は、日本でも米国に負けないくらい看護学が進歩し、多くの看護大学に大学院研究科が設けられ、現在は86の修士課程と37の博士課程が開設されていると書いておられる。現在医師が行っている医療行為の一部を専門看護師に開放する場合、看護大学生、大学院生が受けられ、必要とする教程を増やさねばならないが、医学部や他大学と協力する等すれば出来るはずと私などは思ってしまう。

現在の医療は、チームで提供されるサービスである。一人の優秀な医師が、全てを取り仕切って、その指揮下で行われるとは誰も思っていないはずと考えるのであるが。

高齢化社会にどう対応していくのか、対応策を考えねばならない。一方では、医療崩壊が叫ばれ、現状では医療は将来の安心より、将来の不安の方が大きいように感じてしまう。訪問医療もこれからの重要な課題と思う。でも、訪問看護師は保健師助産師看護師法に従わねばならない。

保健師助産師看護師法を改正し、看護師が現在の医療のニーズに合うよう働ける様にし、ニーズに合うような知識・経験が得られるようにすることは、重要なことと思う。保健師助産師看護師法が看護師の活躍の機会を閉ざし、結局そのしわ寄せが国民に行く法律ではないか、この法は誰のために存在するのかと思ってしまう。国民がよりよい医療を受けられるような改正が必要であると思う。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0)

2006年9月17日 (日)

産科医師-尾鷲総合病院

9月3日に尾鷲市立尾鷲総合病院の産科医の契約更新が不調となったことを書きました。

その産科医との話しとして、中日新聞の取材に応じ、1年間の勤務状況や契約の経緯、現在の心境などを語ったとして、9月16日の中日新聞に記事が掲載されました。

これです。

「休みも年末の2日間だけだった。」と語っておられます。産科医不足が最大の根底にあるのでしょうが、その結果としてのしわ寄せは誰にいっているのかを考えなければいけないのでしょうね。今は、地方なのでしょうか?こんな労働条件では誰も産科医になろうとしないから、産科医不足は益々拡大する。地方から更にどこに拡大していくのでしょう?

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2006年9月16日 (土)

松本被告:死刑確定

オウム真理教の松本智津夫被告の裁判に関して、最高裁第3小法廷が、被告側の特別抗告を棄却する決定を出したことにより、松本智津夫の死刑が確定した。

あっけない終わり方だなと思いました。松本被告の裁判の経緯は以下のようになっています。

東京地裁では裁判が開かれ2004年2月27日に死刑判決が出された。しかし、東京高裁では弁護団が控訴趣意書を期限の2005年8月までに提出しなかった。その為、東京高裁は不提出を理由に裁判を打ち切り、2006年3月27日に控訴を棄却する決定をした。その翌日の3月28日に弁護団は控訴趣意書を提出し30日に異議を申し立てて控訴趣意書の受理を求めた。

東京高裁は5月29日に弁護団の異議を棄却した。その結果、弁護団は6月5日に、この異議を退けた5月29日の東京高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告した。9月15日の最高裁決定とは、弁護団の特別抗告の棄却だったのです。即ち麻畑被告の犯行・犯罪内容についての審議は最高裁でも行われなかったし、高裁においては控訴した弁護側が控訴趣意書を提出しなかった。

裁判とは真理や真相を追求する場ではなく、争いに決着をつける場であると考えるべきであろうが、この結果も一連のオウム事件の結末の断面として予想されたことであったのだろうか。カルト教団による一連のテロ事件という整理で良いのだろうが、何故おきたのか何時の日か解明されることを期待する次第です。

参考に、最高裁の抗告棄却決定と読売新聞の記事。それに読売新聞のオウム関連過去記事を以下に掲げておきます。クリックで、開きます。

最高裁の抗告棄却決定

読売新聞の記

読売新聞のオウム関連過去記事

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年9月11日 (月)

ライブドア事件-投資事業組合

(1)投資事業組合についての会計上の取扱

企業会計基準委員会が9月8日(金)に実務対応報告第20号として「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を公表しました。(平成18年9月8日企業会計基準委員会「公表にあたって」

実務対応報告とは、企業会計基準委員会が公表する会計基準等で、次の3つのカテゴリーの3番目の区分です。

  1. 企業会計基準 ・・・・・・会計処理及び開示の基本となるルール
  2. 企業会計基準適用指針・・・基準の解釈や基準を実務に適用するときの指針
  3. 実務対応報告 ・・・・・・基準がない分野についての当面の取扱いや、緊急性のある分野についての実務上の取扱い、等

(2)ライブドア事件

ライブドア事件においては堀江貴文、宮内亮治、熊谷史人、岡本文人、中村長也及び港陽監査法人の小林元と久野太辰の個人7人と法人としてのライブドアが証券取引法違反容疑で起訴された。容疑の内容は、容疑者により「粉飾決算」と「偽計と風説の流布」の双方又は粉飾決算のみと了解するが、いずれにせよ投資事業組合の利用が深く関係している取引であると推測する。

例えば、平成16年8月30日に「株式交換による株式会社ロイヤル信販の完全子会社化に関するお知らせ」をライブドアは発表しているが、この発表の中でロイヤル信販の株の100%はJMAM サルベージ1 号投資事業組合により保有されているとしている。その結果、JMAM サルベージ1 号投資事業組合に対してライブドア株式を交付し、ライブドアがロイヤル信販の株の100%を入手している。取引を整理すると次のようなものです。

  1. ライブドアは、新株を投資組合に交付したのであり、キャッシュの支出は無い。
  2. 上記1.の対価としてロイヤル信販の全株式をライブドアは入手した。
  3. 投資組合にとっての、ライブドア新株の原価は投資組合がロイヤル信販の株式を入手した対価である。(次の4.の売却額よりは、相当安かったのであろうと推測する。)
  4. 投資組合は、ライブドア新株を証券市場で売却して原価との差額の売却益を得た。
  5. 投資組合は、売却益を、その組合員であるライブドアに支払った。
  6. ライブドアは、投資組合から支払を受けた売却益を投資利益(営業外利益・経常利益)として認識・計上した。

ライブドアにとっては、発行済み株式が水増しとなったので、配当や、1株当たりの利益などが負担となるが、配当はしていない会社であり、宣伝効果で株価上昇の方が望ましかった。又、株価上昇は、上記の6.の営業外利益を増加させることにつながった。

JMAM サルベージ1 号投資事業組合が、子会社に相当するとなると、6.の利益は営業外利益・経常利益ではなく、自己株式処分差益であり損益計算書には計上されず直接資本の部(現行のルールでは純資産の部)に”その他資本剰余金”として計上されるものである。即ち、”その他資本剰余金”として計上されるべき”自己株式処分差益”を”営業外利益”、”経常利益”として財務諸表を作成したというのが粉飾決算の内容の大部分と私は理解している。

「偽計と風説の流布」とは、次の証券取引法第158条である。

第158条  何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

(3)JMAM サルベージ1 号投資事業組合はライブドア子会社に相当するか?

実務対応報告第20号は、、「株式会社における議決権を想定している連結原則等を投資事業組合に対して適用する場合には、基本的には業務執行の権限を用いることによって、当該投資事業組合に対する支配力又は影響力を判断することが適当である。
もっとも、出資者が投資事業組合に係る業務執行の権限を有していない場合であっても、当該出資者からの出資額や資金調達額の状況や、投資事業から生ずる利益又は損失の享受又は負担の状況等によっては、当該投資事業組合は当該出資者の子会社に該当するものとして取り扱われることがあることに留意する必要がある。」
と述べて、種々のケースを示している。

実務対応報告第20号でも述べられているが、投資事業組合には、

  1. 投資事業有限責任組合契約に関する法律で設立された投資事業有限責任組合
  2. 民法上の任意組合(民法第667 条以下)として組成された投資事業組合
  3. 商法上の匿名組合(商法第535 条以下)として組成された投資事業組合

があり、個々の組合契約で業務執行に関する取り決めが存在することから、JMAM サルベージ1 号投資事業組合がライブドアの支配下であったかを検証するにも、この投資組合についての情報が必要であり、情報を持っていないので不可能です。更には、ライブドアが組合員となるにあたっても、香港、ヨーロッパ等の海外も経由したり相当複雑な仕組みを採用し、簡単には証券取引法違反として発覚しないようにしていると思います。

(4)実際はどうか

ライブドア事件の証券取引法違反は刑事事件ですが、これ以外に民事で訴訟になっている事件があります。共同通信の2006年06月のライブドア関連記事の2006年06月08日を見ると次の記事があります。

検察「投資組合はダミー」 堀江被告の公判前協議で

ライブドアが争う姿勢 個人株主の損害賠償訴訟 ライブドアの有価証券報告書虚偽記載で株価が下落し、損失を被ったとして、同社などの株主計96人が同社と前社長堀江貴文被告(33)=証券取引法違反罪で起訴=ら8人に総額約21億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、東京地裁(鹿子木康裁判長)であり、ライブドアなどはいずれも請求棄却を求め、争う姿勢を示した。  ライブドア側は虚偽記載を認めたものの「虚偽記載がなければ株主にならなかったという原告の主張には証明がなく、損害額との因果関係も証明がない」と主張した。  堀江前社長側は「虚偽記載の事実はなく、原告の主張は前提を欠く」と原告の訴えを否定した。

この記事によればライブドア社は、虚偽記載を認めています。ホリエモンは自分個人の犯罪容疑とも関係があることから、虚偽記載も否定しているのでしょう。そうなると、「虚偽記載が本当である。検察が言う「粉飾決算」と「偽計と風説の流布」も、その通りである。」となると思うのですが。今後の裁判の行方を見ていきたいと思います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年9月 7日 (木)

サラ金(その4)-貸金業規制法の改正

昨日に引き続きサラ金関係を書いてみます。

(1)貸金業規制法の改正の影響

国会で成立していないので、未だ影響を論じるのは早いのでしょうが、自民・公明で過半数を押さえているのだから、よっぽどの造反が出ない限り、今の案と大きく異なることはなく、改正されるだろうと思うのです。

さて私の8月22日のエントリーサラ金ビジネス(その1)は、出資法の上限利率(年利29.2%)で支払った利息に対し、利息制限法の最高限度利率(元本100万円未満は年18%)を超えて支払った利息をサラ金業者から取り戻す話しを書きました。即ち、最高裁は最近この取り戻しについて利用者に有利な判決を出している。しかし、やはり取り戻しには手間がかかると書きました。

何故単純ではないかというと、例えば利息制限法第1条2項に「超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。」と規定されていることから、任意性についての争いが生まれるからです。

そこで、貸金業規制法が改正されたらですが。もし、利息制限法の関連部分も改正されるなら残念ながら新たに制定される最高利率が生きることになります。もし、利息制限法が改訂されなくても、やはり私は取り戻しは相当苦しくなってしまうだろと思います。

この辺りについては、法廷で争っておられる弁護士の方が一番良くアドバイスを頂けると思います。寺本ますみ弁護士は、ブログ「弁護士のため息」の9月7日のエントリー グレーゾーン金利問題が大変なことに!!で「サラ金業界にやさしい金融庁案」と言っておられます。

(2)金融庁にやさしい改革案

考えてみたら、「金融庁にやさしい改革案」と思います。何故なら、現在は利息制限法では刑事罰の規定はなく、続きを読むに掲げたように年利29.2%の出資法で条文があれからです。グレーゾーン金利の争いは民事であり、刑事ではないから政府・行政はノー・タッチでよい。

もし、貸金業規制法で年利29.2%より低い最高利子率を決める。この利子率を超えると罰金刑や貸金業の許可取消のような行政処分の対象とすることになる。低い金利であるほど、金融庁の仕事が増えてしまう恐れがある。変な話しですが、「金融庁にやさしい金融庁案」になってしまうのかも知れません。

(3)何のための改革

改革の目的を見失ってはならないと思うのです。刑事罰や行政処分を厳しくするのも一案かも知れないが、現実的な方法は、何であろうかと思うのです。現在の利息制限法と出資法の2つの制限利子率があり、グレー・ゾーン金利があり、最高裁判決があると言う状態ですが、これで運用を続けて解決策を見つけていくのも一つの方法であり、無理矢理に貸金業規制法を改正しなくても良いのではと思うに至ったのです。

グレー・ゾーン金利が存在する状態でも、生活福祉資金貸付制度を充実させていく(単なる金額の増額すると言うのみではなく、制度の内容も見直す。)方法はあると思うのです。金融庁は、どうして必要なことをせずに、結果として利用者を不利にするかも知れない、改悪になるかも知れないことをするのだろうかと思ってしまいました。

ブログランキング・にほんブログ村へ

続きを読む "サラ金(その4)-貸金業規制法の改正"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 6日 (水)

サラ金(その3)-GEコンシューマー・ファイナンス

(1)金融庁が金利制限に関する法案を自民党に提出

8月22日のエントリーサラ金ビジネス(その1)でサラ金の出資法の契約金利から利息制限法を超えて支払った金利の取り戻しについて述べました。法律の上でも出資法金利を制限しようとのことで、立法化が金融庁で検討されていたが、この改正案を金融庁は本日(5日)午前、自民党に提示しました。

日経-貸金業規制、上限金利2010年メド下げ・金融庁案

読売-特例高金利で対立 貸金業規制法改正案

これに反発して、徳島3区選出の自民党衆議院議員(当選3回)の内閣府大臣政務官(金融、経済財政政策 )である後藤田正純氏が政務次官の辞職願を提出し、受理されました。

共同通信-後藤田政務官が辞任 貸金業の特例金利案で

朝日-特例金利巡り辞職の後藤田氏、「金融庁に圧力」示唆

産経-後藤田氏、経済財政担当も辞任

読売-後藤田政務官が辞職、金融庁の「貸金業」案に反対で

(2)金融庁の貸金業制度等に関する懇談会(GEコンシューマー・ファイナンス)

貸金業規制法の改正に関して、金融庁は貸金業制度等に関する懇談会を持っていました。2005年3月30日から先月の8月24日まで合計19回の会合が持たれていました。最終回である8月24日に開催開催された懇談会でオブザーバーメンバーであるGEコンシューマー・ファイナンス土屋監査役が「フランス・ドイツの適用金利の例」と題した資料19-7を提出しています。

フランスの例として合計30.46%、ドイツの例として50.6%と合計が書いてあるが、これば年利なのか訳がわからない。例えば、事務手数料が4.0%であれば、年利換算では期間と平均残高で引き直す必要があるので、違ってくる。このように合計してよいのか疑問である。又たった2つの例を持ってきて、これが全体ですよと言っているように感じられる。知らない人だったら、フランスのサラ金の金利は年利30.46%で、ドイツでは年利50.6%と思ってしまう。常識で高すぎると思います。(特別な場合には、ありえても)

危険な人達だと思います。最も、「保証」という字を「補償」と間違うぐらいのファイナンス屋だから、こんな会社や人達とはつきあいたいと私は思わないが。サラ金ビジネス(その1)でリンクしたひろ子弁護士のブログではGEコンシューマー・ファイナンスのことを、夜間や土日はファックスを切る会社だと言っていますが、この資料を見ると、よく判ります。

(3)生活福祉資金の貸付

8月23日のエントリーサラ金(その2)で公的な生活資金ローンについて書きました。私宛にどこの市町村からもコンサルタント依頼の要請はありませんでした。

金融庁の貸金業制度等に関する懇談会のオブザーバーメンバーに弁護士の宇都宮健児氏もなっておられるのですが、同じ8月24日の懇談会に資料19-8を提出されています。

その資料の6ページに生活福祉資金貸し付条件等一覧[平成18年度]が記載されていました。このような制度を充実させていくことと、やはり、制度があることを必要とする人達に知って貰うことが大事だと思うのです。

実は私もほとんど知りませんでした。そこで、宇都宮健児弁護士に無断ではありますが、生活福祉資金貸し付条件等一覧[平成18年度]続きを読むに掲げておきます。(クリックすると別ウィンドウで開きます。なお、資料19-8はpdfですが、他の資料もあるし鮮明です。)

ブログランキング・にほんブログ村へ

続きを読む "サラ金(その3)-GEコンシューマー・ファイナンス"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 5日 (火)

ライブドア事件初公判

ホリエモンの初公判が開かれました。毎日新聞が検察側冒頭陳述と弁護側冒頭陳述の要旨を載せていました。次のサイトです。

検察側冒頭陳述(要旨)と弁護側冒頭陳述(要旨)

他で報道されている内容とほぼ同じと感じますが、弁護側のホリエモンの関与が無いという主張は、私にはホリエモンは経営者なのに知らなかったで通るのかと思ってしまうのです。

ライブドア事件が村上ファンド事件と異なるのは、ライブドア事件が多くの一般投資家に損失を与えたことであると私は思っています。ホリエモンは、一般投資家に対して、「私は関与していない。責任はない。」で通用して良いのだろうかと思うのです。

ホリエモン裁判は11月までの3カ月間に計26回の公判を開いて結審する予定です。この裁判のために、多くの有能な弁護士を専属でホリエモンは雇っているはずです。弁護士費用だけで普通の人には払えないような天文学的金額かも知れません。ホリエモンもそう簡単に裁判で負けないような布陣をしているはずです。

どう展開するかは、これからです。でも、考えたらホリエモンが支払う弁護士費用も元はと言えば一般投資家がライブドア株に投資した金がめぐりめぐっていった結果かも知れません。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

日本航空(その3)-ジャパレバ

ジャパレバとは何であるか。2006年6月30日提出の日航の有価証券報告書ページ29/128に次のような記載があります。

当社グループは、航空機の調達手段として、日本型レバレッジド・リースを活用していますが、・・・現状の仕組みが、2007年4月1日以降に組成される案件については、従来と同じ条件では利用できなくなる予定であり、・・・・当社グループの財政状態及び業績に悪影響を与える可能性があります。

上記の日本型レバレッジド・リースがジャパレバです。日航にしか関係しないのかというと、当然ジャパレバを利用する全ての会社(全日空も含め)に関係するのですが、金額的には多分日航が一番大きいかもしれないと思います。そこで、今回はこのジャパレバとは何であるかを私なりに書いてみます。

(1)レバレージド・レース(Leveraged Lease)

「てこ」のリースです。ジミー・カーターさんが米国大統領であった頃、米国には、その当時投資減税(Investment Tax Credit)として設備投資を行うと投資額の10%が税額控除(Tax Credit)が取れるという税制がありました。100投資して、減価償却を実施する以外に10税金が減額されるのです。日本の今の税制でも情報基盤強化設備等を取得した場合の法人税額の特別控除なんてのがありますが、その年の法人税の20%までという制限があります。米国のその当時の投資減税は法人税の100%まで許容されたのです。

設備投資を行う会社は、必ずしも利益を計上し多額の納税をしている企業とは限りません。そこで、リースの仕組みを利用するのです。設備投資は名目上は多額納税企業が行って、これを実際に使用する企業にリース賃貸をするのです。もし、70%を借入金で調達することとして、30%の現金を用意して投資すれば、税金で直ぐに10%投資回収が計れることとなるのです。リース料は資金コストが大きなウェイトを占めます。資金コストは回収リスクとの見合いですが、税引き前で考える必要はなく、税引き後のキャッシュフローで考えることが合理的と言えます。保証等も組み合わせれば、最適な投資家、資金提供者・・・で安いリース料のリースを仕組める可能性があります。

これがレバレッジド・リースです。レーガン大統領の税制改革で米国の投資減税を利用したレバレッジド・リースは無くなりましたが、利用できる制度があれば、同様にバレッジド・リースは可能です。航空機の場合は、国境をこえて出稼ぎも可能ですから、世界で有利なレバレッジド・リースが仕組めるところがあれば、そこで出現する可能性があると思います。いずれにせよ、レバレッジド・リースは通常は税制度を巧みに利用して仕上がっているはずです。

(2)ジャパレバとは

日本で所得税を多く払っている人達に航空機の所有者となって貰うのです。利用するのは次の2つの個人所得税の制度です。

A 不動産所得の損益通算(航空機の賃貸収入は不動産所得で、不動産所得の損失は他の各種所得の金額のプラスを減額することが出来ます。従って、所得税が減る。なお、他の所得と相殺(損益通算)が可能なのは、不動産所得、事業所得、山林所得と譲渡所得のみです。(所得税法69条)

B 航空機を売却した際は、売却価格と未償却簿価残高との差額が利益となり、課税所得になるのですが、5年以上保有していれば50%は無税なのです。(所得税法22条②二)

日本では航空機の減価償却期間が最大離陸重量130トン超は10年で、それより軽い場合は8年です。これも、節税に役に立つのです、即ち、リース賃貸料と売却収入の合計総額が同じであれば、売却による利益(所得税では譲渡所得と呼びますが)が大きいほど、50%無税となる金額が大きくなるからです。

それと、不動産所得も賃貸収入(リース料)は毎年一定ですが、借入金の利息は返済が進むに連れ残高が小さくなることから、期間全体を見越してリース料を決めることになるので、最初のうち不動産所得は赤字で節税効果を生み、後になれば利息が小さくなった分だけ収入も大きいという構造です。ここ数年は、儲かっている。だから節税だ。その見返りに将来キャッシュが入ってくるなら、これはいい投資だとなるわけです。

なお、所有者は一人では巨額すぎるので民法上の組合契約を締結し、組合がその所有者となるが、全ての事務や手続きはリース会社が設立した個別案件毎の会社が執り行っています。組合の場合は、組合員が事業行為を行っているとして、組合ではなく各組合員が税務申告を行い、納税義務者となります。

投資に賃貸マンションを買いませんかという勧誘と似ていますが、実ははるかに有利なのです。何故なら、

- 中古航空機は必ず売れます。(金額はマーケット次第ですが)

- リースの相手先は大手の航空会社等です。賃貸収入の回収は確実と言えます。

- 土地・建物は税制が異なるので、航空機ほどメリットはない。(同じ不動産所得、譲渡所得の分類ですが、土地政策との関係もあり、損益通算の制限や所有期間10年とかが土地・建物にはあります。)

(3)国税庁の反撃

(1)で書いた米国の投資減税の場合は、景気対策という政策が絡んでいます。一方、ジャパレバは景気刺激になるのかならないのかよく判らないものです。メーカは米国又はヨーロッパ。でも、日本に下請け企業がいる。いずれにせよ、ジャパレバは政策としての税制を利用しているのではなく、税制の隙間を縫っている感じです。

ということからでしょうか、税務署は、民法上の組合契約という通常では使われない手段を利用した租税回避であり、外見上は組合契約の形式をとってはいるものの、その実体は投資による利益配当契約であり賃貸の場合の損失はゼロとみなすこととなっている雑所得であるとして各所有者(組合委員)に修正申告を要求し、応じなかった人には更正処分を行い、更に裁判に訴えたのです。(参考2004年3月読売新聞記事

そして、最初の名古屋地裁の判決では、税務署が敗訴。その結果、税務署が控訴したため名古屋高裁での争いとなったが、2005年10月27日(判決文はここ)控訴棄却となり、税務署は期限までに上訴しなかったことから敗訴が確定した。更正処分を争っている納税者は、国税不服審判所の段階で62件、地方裁判所で71件、高裁は他に2件あったそうです。税務当局は、同じ事実関係にある事案についても、課税処分の公平性の見地から処分を見直し、税務署長による減額更正が行われるたと理解します。

実は、2005年2月4日に平成17年度税制改正(「所得税法等の一部を改正する法律案」)が閣議決定され、同日、国会に提出されたのですが、この改正案にはジャパレバの節税を封じる条項があったのです。それが、租税特別措置法41条の4の2で、続きを読むに条項を掲げています。これを読むと解りますが、平成18年からの適用です。

内容は、(2)Aで書いた航空機賃貸の不動産所得に関する赤字部分が認められなくなったのです。41条の4の2で言う自ら執行する組合員とは、リース会社の子会社位だろうと私は思うのです。

(4)現状

現在は、(2)Aによる赤字の結果の節税はなくなりました。しかし、(2)Bの50%無税は続いているはずです。ジャパレバは最初は赤字節税で、最後は50%無税ですから、既に赤字期間が終わっている人達には措置法41条の4の2は影響がないと思います。赤字期間がほとんど終わっている人は、影響が小さいというところと思います。

但し、新規案件は節税メリットが一つ消えるので、ジャパレバのリース料はその分高くなると思います。

さて、日航の有価証券報告書が何故2007年4月1日以降に組成される案件と書いているのかですが、法人が組合員となることもあるのです。法人の場合は、所得は全て一本で個別の赤字は他の黒字と常に相殺されます。但し、50%無税の制度はありません。しかし、リースの最初の頃が赤字で最後が利益でとなると、税も全ての期間を合計すれば同じでも、最初が少なく後が多いと割引計算で現在価値に引き戻すと後で払う方がメリットがあります。法人の場合の組合員は、この計算です。

平成17年度税制改正は租税特別措置法67条の12(組合事業に係る損失がある場合の課税の特例)という条項で法人の場合の組合事業に係る組合損失超過額の損金不算入を導入したのです。2005年4月1日以降締結の契約から適用なのですが、航空法第100条第1項の許可に係る事業の用に供する航空機の賃貸に係るものは2007年4月1日以降締結の契約からなのです。

(5)税の公平

税の公平と言う議論は、難しい側面を持っていることが多いのです。例えば、ジャパレバでも組合員は節税を考慮して投資をしたが、一方でリターンは通常より低かったはずです。又、リース期間終了時に売却と言っても、時価です。その時に、低燃費の航空機が現れていたら高燃費機は価格が下がっています。結局は、そんなリスクも加味した総合の損得勘定で動いているはずです。

しかし、参考として掲げた(3)の2004年3月読売新聞記事によれば安いリース料のメリットを受けた例としてあがっているのは英国の航空会社のようです。この場合に、日本の税が安くなった分、英国の航空会社が利益を出して、英国で納付する税が増えているのだったら、日本の制度はバカみたいと思えます。ジャパレバに関する税制改正は、日本の政府財政が赤字であることを考えれば、妥当なのかも知れません。

ブログランキング・にほんブログ村へ

続きを読む "日本航空(その3)-ジャパレバ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 3日 (日)

産科崩壊(その3)-尾鷲市が産科医不在に

尾鷲市立尾鷲総合病院の産科医の契約更新が不調となり、10月以降、同市で出産ができなくなる見込みです。先ずは、次の記事を参照下さい。

伊勢新聞-産科医と契約できず 市立病院産婦人科10月から再び休止 尾鷲市

中日新聞-来月以降休診も尾鷲総合病院の産科医、交渉決裂

読売新聞-尾鷲の産科医 不在に 来月から

読売新聞-鷲市 産婦人科医問題 不安募らせる市民

年間5520万円の契約だったが、更新が成立しなかったとのことです。結果、読売新聞は妊産婦は車で約1時間の公立紀南病院(三重県御浜町)か、民間病院のある松阪市まで2時間かけて通わなくてはならなくなると言っています。

でも、連日病院の仮眠室に泊まり込みで、全く休みがなかったという状態のようです。それが何の改善もなく継続するのであれば、人間として嫌になるだろうと思います。使命感でやってもどこかに限度がある。

長い間、箱物投資で、建物を作れば中は自然にできあがるものだと、税金をそういう感覚で土建工事にばかりつぎ込んできたのだと思うのです。ある日、気が付くと最も大事な中身が無かったというイッソプ物語の世界に私たちはいるのではないかと思ってしまいます。

本件について、神戸の開業医の方のブログ「小児科医のつぶやき」のエントリーやっぱりそうなるか続やっぱりそうなるかで医師から見た本件についての感想を述べておられます。続やっぱりそうなるかで引用されておられる議事録はこれです。

一つの市だけで解決できない。根本問題を解決しなければどうしようもないのだと思うのですが。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (1) | トラックバック (0)

日本航空(その2)-委員会設置会社への移行は?

株式会社日本航空(以下日航と書くことにします。)は、会社の機関として株主総会、取締役会、監査役会を持ち、取締役、監査役、会計監査人がいる上場株式会社です。取締役の人数は18人で、そのうち3人が社外取締役。監査役の人数は5人で、そのうち3人が社外監査役です。

従い、上場株式会社としては、最も多く見受けられる会社のタイプ(機関構成)です。一つ前のエントリーで日航のことを書いたのですが、書き進むに連れて委員会設置会社のほうが、日航にふさわしいのではないかと思い始めました。そのあたりのところを書いてみます。

(1)委員会設置会社とは?

2002年5月の商法特例法の改正(2003年4月施行)により、今から3年ちょっと前から日本の株式会社で機関構成として採用することが可能となりました。米国で採用されている株式会社の機関構成の一つを日本にも取り入れたものであると理解します。なお、現在は会社法による委員会設置会社で、商法特例法は廃止されました。

株式会社とは会社所有者である株主は直接には会社経営、会社業務を行わず、株主総会で取締役を選任し、取締役は取締役会で重要事項を決定すると共に、業務を執行します。(株主総会事項は株主総会での決定)そして、取締役による業務執行の監査を行う監査役を株主総会で選任する。又、会計報告が適正であることを監査する会計監査人も株主総会で選出するという仕組みです。(会計監査人は、上場会社、大会社以外は義務ではない。その他詳細は省略します。)

委員会設置会社とは、取締役以外に、業務執行を行う執行役を取締役会で選任し、執行役が会社の業務を執行する仕組みです。取締役と執行役は兼任が可能ですが、社外取締役は執行役を兼任できません。取締役会は基本方針の決定と執行役(及び取締役)の職務監督を行うという仕組みです。なお、委員会設置会社では指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会が設置されます。3委員会は取締役で構成されるが各委員会の過半数は社外取締役であることが必要です。

監査委員会は取締役と執行役の業務を監査します。このことから、監査役は委員会設置会社には置けません。指名委員会は株主総会へ提出する取締役選任の議案内容を決定します。報酬委員会は取締役と執行役の個人別の報酬額を決定します。

(2)社外役員

監査役会設置会社の監査役は3名以上で、半数以上は社外監査役の必要があります。(会社法335条③)委員会設置会社の監査委員会の委員の過半数は社外取締役であることが必要です。これは、監査という仕事を行うにあたっては、社外の利害関係のない人を起用することが、監査を公平に実施するに当たり重要であると考えたからと理解します。日航の社外監査役が3人であるのは、監査役の総数が5人だからです。

なお、社外監査役は、過去にその会社の取締役、執行役、支配人、使用人になったことがない人です。

社外取締役は、委員会設置会社でなければ任意であり強制されません。日航の場合、何故3人の社外取締役がいるかというと、会社としてのコーポレート・ガバナンスの強化・拡充のためと理解します。例えば、日航は、有価証券報告書で次のような説明を行っています。

透明かつ公正な企業活動を促進し、コーポレート・ガバナンスの体制拡充を図るため、監査役制度の強化を図りつつ、5名の監査役のうち3名を社外監査役としております。また、社外取締役を3名専任しております。

監査役5名のうち3名を社外監査役としているのは、過半数の社外監査役が商法特例法の時から法的な義務であったことと思うのです。コーポレート・ガバナンスの強化と言うのは、後でつけた感じがします。この説明からでは、社外取締役についてまで疑いを持ってしまうことになると思うのです。

社内取締役が自己保全のために、自分たちを擁護してくるであろう人達を、形式的に社外取締役として選任する案を株主総会に提出して承認を受けることがあり得えます。株主総会へ提出する議案は取締役会が作成します。社外取締役選任案の提出は、コーポレート・ガバナンスを強化・拡充すると株主その他関係者にアピールできます。そんな会社があるかも知れません。

なお、社外取締役とは社外監査役と同様にその会社の取締役、執行役、支配人、使用人になったことがない人であることと、更に業務の執行を行わない取締役です。従い、取締役会への出席を含む取締役会での決議決定事項に関連する仕事とガバナンスについての仕事(会社法348条④)が中心になると思います。会社法においては、社外役員の選任案には経歴の詳細を社内役員より詳細に記述することが求められることとなりました。(規則74条④、規則76条の④)また、事業報告書において社外役員の取締役会への出席状況や発言の状況他についても記載が必要となりました。(規則124条)

会社法により強化されたものの一つがコーポレート・ガバナンスの強化であると言われています。日航の説明についても、その通りであることを監視し続ける必要があると思います。なお、コーポレート・ガバナンスは企業統治と言われたりしていますが、内部統制の方がしっくりくるような気もします。ここでは、コーポレート・ガバナンス又は単にガバナンスとしておきます。

(3)過去の企業不祥事

まず思い起こすのが、カネボウです。9月1日から中央青山監査法人(みすず監査法人と名前を変えましたが)も監査業務を再開しました。カネボウ事件は、単純で古典的手法を使った粉飾であったことから、会計士は、かなり前からその概要を知っていたのだと私は思っています。しかし、その会計士と帆足隆元会長兼社長のみが悪かったとすることは、本質を見誤ると思います。カネボウとはドライなリストラをしない会社であり、社内の和を大切にする会社であったのだろうと思うのです。粉飾の様なことをしていることを皆知っていた。でも、会社がつぶれれば元も子もない。そのうち、大ヒット商品がでれば解決するだろう。そんな気持ちで皆働いていたのだろうと思うのです。だから、会計士も、それに引きずられていった。

取締役会や監査役も機能しなかった。ちなみに、カネボウは2004年3月期までの5年間財務諸表の粉飾を行ったとされているが、2004年3月期において取締役には三井銀行副頭取を経験した人もおられたのです。社外監査役2名のうち1名は弁護士でした。

日航の現在の3名の社外取締役は、元東京海上社長、元東急電鉄社長、元秩父セメント社長の3名です。社外監査役は元関電社長、元興銀頭取、元JR東日本社長の3名です。日航社外役員は全員が元大企業のトップ経験者です。企業トップの方が能力がないとは言いません。しかし、なかにはサラリーマン出世競争に強引に勝ち残っただけの人もおられると思います。それぞれ個人の方を知らないので、何も言えませんが、航空機を利用する一般の人の代表みたいな人が社外取締役として入っていても良いのではと私は思うのです。

(3)の冒頭にカネボウのことを書きましたが、皮肉なことにカネボウ会長の伊藤淳二氏が1985年に日航副会長を兼任していたことがあるのです。最も、伊藤淳二氏の副会長就任には、その年の8月12日に発生した御巣鷹山墜落事件が関係していますが。

(4)委員会設置会社とガバナンス

前回のエントリーで問題であるとしたことが、株主への説明不足でした。6月28日の株主総会のわずか2日後の6月30日の日航取締役会は35.4%の増資を決議しました。取締役会ですから、社外取締役も社内取締役と同じ権利・義務を持っています。社外取締役は、どのような発言をしたか、監査役はどうであったか興味があるところです。(監査役の取締役会出席義務は会社法383条①)来年6月初め頃に出される事業報告書に記載されるかも知れません。(会社法施行規則124条)

ところで委員会設置会社だったらどうだったのでしょうか?委員会設置会社の取締役と執行役の任期は1年です。(会社法332条③、402条⑦)そして、毎年株主総会に提案する取締役の候補者は社外取締役が過半数を占める指名委員会が決定します。来年も取締役にとどまれるだろうかと、各取締役に対して結構なプレッシャーを与えるかも知れません。どんな人格者が社長になっても、しばらく立つと回りはイエスマンばかりになると言う人がいます。日本の会社は、社長が役員の実質上の人事権を持ち、取締役・監査役の候補者は実質社長が決めるというスタイルがあると耳にすることがあります。会計監査をする監査法人についても取締役会の案を株主総会で承認するのだから、まずは承認されます。

委員会設置会社の方が、種々のしがらみからはフリーになれそうに思うのです。だから、日航も、「この際、委員会設置会社に移行することを検討されては如何ですか?」と問いかけたいのです。

なお、委員会設置会社となっている会社は、この委員会設置会社 移行会社リストを参照してみて下さい。でも、委員会設置会社にも色々あり、例えば、日立製作所のように取締役14名で4名が社外取締役。各委員会は5名なので、社外取締役の兼任がある。ソニーは取締役14名で10名が社外取締役です。

日航は6月4日ワンワールド加盟招請状に署名し、2007年初めにワンワールドに参加予定です。そこで、ワンワールドのパートナーの1社である米国のAmerican Airを見てみることとします。但し、上場しているのは持株会社AMR Corporationで、13名の取締役のうち執行役はChairman, President and Chief Executive OfficerのGerard J. Arpey氏のみで、この人以外は社外取締役です。法律自体が異なるので同列での議論は出来ないが、委員会設置会社です。

なお、米国で社外取締役(independent director)は、当然昔から存在した制度ですが、エンロン・ワールドコム事件を契機としてコーポレート・ガバナンスの強化が叫ばれた。その結果、上場会社においては社外取締役(independent director)が過半数を占めることや取締役会の独立性(board independence)等がNYSE、NasdaqやSECのルール(例えば、NYSE Corporate Governance Rule Section 303A)として制定されたことがあります。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »