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2006年11月12日 (日)

ファンド・マネジャーFortressの株式上場

1) ファンド・マネジャーFortressの株式上場

資金総額260億米ドル(約3兆円)を運用する米国の大手ファンド・マネジャーFortressのニューヨーク証券市場(NYSE)への株式上場というニュースがあります。NYSEに対して、上場(IPO)に関して届けた文書がこれです。そのまま聞き流すとどういうことも無い感じですが、ファンド・マネージャーそのものの株式上場というのは、少し矛盾があるのです。

ファンドとは、何か?村上ファンドを例にします。村上氏の会社(マック・アセット・マネージメント)がファンド・マネージャーであり、例えば、オリックスと現日銀総裁の福井氏が村上ファンド会社を起用して投資をするとします。その際は、3者で契約をして、投資家オリックスと福井氏の資金の投資先の選定と運用について村上会社に委託し、運用成績に応じて報酬を村上会社に支払うことを取り決めるのです。この契約は、高い運用成績を上げれば、利益を得るのは投資家です。但し、人参をぶら下げる必要があるから、運用成績が高ければ高いほどファンド・マネージャーの報酬を高額とするのが一般的です。

ファンド・マネージャーは、自分の資金を投資するのではないのです。いくら高い運用成績を上げても、その結果の分け前は資金を出した投資家の方が多いのが通常です。もし、ファンド・マネージャーが自分の資金を出すとするなら、人の運用成績を上げるより、自分のリターンを大きくするように動くはずです。

この関係に頭を悩まして、色々Web等を見てみたのですが、結局は解りませんでした。情報を更に集めると共に、少し様子を見るしか仕方ないのかも知れません。

なお、ニュースとして解りやすいのは、このこのBloombergのニュースFortress Seeks up to $750 Million in First Share Sale と思います。又、株式上場と書いたのですが、厳密にはLLCで、日本で言えば合同会社であり持分と言うべきなのでしょう。又、日本の連結納税の様なこと(日本は100%保有の完全親子関係にないと、連結納税は出来ないが米国では、条件が異なる。)が関係するので、細かく分析するのは、そうとう大変です。又、市場に出すのは10%でしかなく90%は従来の出資者が保有するので、実質は変化が無いとも言えます。

2) ストックオプションの税金

10月26日のエントリーの(5)でストックオプションの会社側の法人税について、どうなるのだろうかと書いたのですが、会社法の施行日本年5月1日から施行となった法人税法で追加された第54条に「当該個人において当該役務の提供につき所得税法(昭和40年法律第33号)その他所得税に関する法令の規定により当該個人の同法 に規定する給与所得その他の政令で定める所得の金額に係る収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額を生ずべき事由(次項において「給与等課税事由」という。)が生じた日において当該役務の提供を受けたものとして、この法律の規定を適用する。」とあることから、会社が所得税法に基づき源泉徴収を行った日に会社がストックオプションで役員・従業員に給与を支払ったとして損金算入が可能になるのだろうと思いました。

当然個人の所得税も源泉徴収が基礎となるはずで、もし源泉徴収を会社が怠ったら、源泉徴収・申告・納付のペナルティーが会社にも来るのだろうなと思いました。10月26日のエントリーで、税金の部分の補足のつもりで書いています。

3) ストックオプションとインサイダー取引

インサイダー取引に関しては、日経-日経元社員の初公判10月2日・インサイダー事件日経-東証・大証・ジャスダックが自主規制で連携等がありますが、何と言っても有名なのは、日経-村上被告側が無罪主張、「村上ファンド」事件で整理手続きです。

インサイダー取引とは、上場会社の役員等が重要事実の公表前に当該上場会社の株式等を売買することで、証券取引法第166条で禁止されています。重要事実とは何であるかです。日経元社員の場合は、会社が正式決定した後の公表する内容そのものを事前に見て売買したからインサイダー取引であると言えるのです。

村上事件については、ニッポン放送株を取得するというライブドアの計画をその計画段階での情報を耳にして、村上ファンドが株を取得したというものです。会社が正式に取締役会で決議したのであれば、決定であり、これが重要事項であり、その公表前に株式を売買すれば、インサイダー取引であると言えるでしょう。しかし、計画中の段階まで含まれるのであれば、下手をすると、その範囲は限りなく広まってしまいます。

ストックオプションで株式を購入するのは、インサイダー取引の禁止に当てはまらないとなっていますが、売却はインサイダー取引の対象です。ストックオプションで入手した株式は何時ならインサイダー取引とならないのか、村上裁判で何か示されるのでしょうか?

4) 蛇足

ストックオプションを与えた場合、会社はその価値をブラックショールズの式か何かを使って計算して、権利確定日まで毎月給与としてコスト計上すると同時に源泉徴収をすることになると思うのです。これを個人の方から見ると、ストックオプションについては現金が支給されないにも係わらず、源泉徴収されるわけで、手取額が減ってしまう。しかも、ストックオプション実行時も(無償交付を除き)定められた金額を支払う必要あり。一方、株式売却もインサイダー取引でままにならずであるなら、ストックオプションとは魅力があるのでしょうか?

日経株価平均銘柄企業で、4社に1社がストックオプションの予定を持っているとの話しがあるが、今後どのようになっていくのかと思いました。

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