« 法人税の引き下げ | トップページ | 村上ファンド裁判 »

2006年11月30日 (木)

格差社会の拡大

格差社会の拡大と言っても、実はアメリカ合衆国の話しです。

米国のTax Foundation(納税協会と言えばよいのでしょうか、ホームページはここです。)が、米国連邦歳入庁(Internal Revenue Service)の2004年データをこのSummary of Latest Federal Individual Income Tax Dataで個人所得について発表しています。 国税庁の個人所得データの分析結果という具合です。日本でも、おそらく所得格差は拡大していると思うのですが、個人所得税の納税申告のデータなので前提条件を理解することは必要なのですが、興味深く分析してみました。

1) 全体の1%の人が個人所得全体の19%を得た

全体を大きなパイであるとするなら、2004年の米国では1%の人が19%を手にしたこととなります。この1%の人達とは、年収では$328,049ですから4千万円以上の年収の人達ということになるのでしょう。ちなみに、上位10%の階層は$99,112(12百万円)以上ですから、米国では高収入1%グループの人達の収入額は相当すごい金額になるはずです。

なお、断っておかなければならないのは、必ずしも一人当たりではなく、所得税の申告数当たりなのです。先ず、米国には年末調整制度がないので、全員が所得税の申告書を提出します。但し、夫婦合算申告(Joint Return)が認められており、通常合算申告の方が税金が安くなるので、合算申告をしています。日本の場合だと、夫が年収1千万円で妻が5百万円で共稼ぎだとすると別々の税となるので、累進課税を適用結果、夫の所得税の税率の方が高くなります。しかし、夫婦が協力して家族の収入を得ているのだとすれば、7.5百万円ずつ収入を得たとして所得税を計算した方が合理的と言えます。例えば、妻が専業主婦であれば、夫の収入を役割分担の結果だとして2で割るのです。103万円を超すと配偶者控除が適用されるなくなる・・・なんてことより、よっぽど合理的と思えるのですが。最も、米国の制度も単純に合計して2で割る制度ではありませんが、考え方のベースはこのようなものです。

2004年の米国の個人所得の納税申告者数は130,371,156人で、この中の上位1%の申告に関わる所得金額が全部を合計した所得金額の19%を占めます。上位50%と下位50%の2つのグループに分けた場合に、2つのグループの合計した所得の金額比を計算すると87%対13%になります。数で75:25は、金額で20:80と言う具合にパイの分け方は高額所得者により多くなっています。次の円グラフの左は申告者数で、右が所得金額です。

Uspiconmereturn2004

これを各グループの納税申告者当たりの所得金額で図示したのが次のグラフです。

Usincomedistr

2) 格差は拡大しているか縮小しているか

努力すれば報われる社会においては、ある程度の格差は必要であると言えるのでしょう。社会の完璧な制度が存在しない以上は、なかには大金持ちがいても仕方ないし、大金持ちの存在を許すことによって貧しい人も底上げがされているならそれも良いではないかと言えるのでしょう。そんな議論は、ともかくとして1980年以降のデータがこの発表のなかに含まれているので、1980年以降のグループ別の所得の伸びを図示したのが次のグラフです。

Usincomef

横軸は年ですが、縦軸は各グループの平均所得です。即ち、高所得の1%グループの所得額は2004年所得で平均が1百万ドルを超えている。(1%になるかならないかのボーダーラインは328,049ドル)50%の人々の平均は14,149ドル(年間約170万円)ですから、半数の人々は物価が日本より安いとは言え、なかなか大変だと思います。なお、50%のボーダーラインは年間所得30,122ドル(3百60万円)でした。上の表は、金額ベースですが、物価上昇を加味する必要があるので、米国都市部消費者物価指数を適用して1980年を1.0とした場合の、各グループの平均所得の推移をグラフにしたのが下のグラフです。

Usincomeind

上位所得者の所得増加割合が大きく、下位50%の人達にとってはほとんど所得は増加していないと言えます。従い、私の結論は「米国においては、下位50%の人達の所得は減少はしていない。しかし、高所得者の所得は高い人ほどその増加が大きく、所得格差は米国においては拡大している。」であります。

所得だけが物差しではなく、忙しくて自分の時間も持てずに追い回されているよりは、自分の人生や生き方を追い求めている方がよっぽど幸せであると言えます。しかし、所得は重要で、お金がなくては生きていけない。米国についての私の分析は以上です。本当は、日本についても同じ様なグラフを書いてみたいと思います。データがあれば書いて発表します。良いデータがあれば教えて下さい。

米国では、下位50%のグループ1987年から1997年頃は少し落ちこんでいる時代でありましたがほぼずっと横這いです。日本の所得のグラフを書いたら、まさか下位の人達は下がりつつあるなんてことありますかね?心配になってきました。

ブログランキング・にほんブログ村へ

|

« 法人税の引き下げ | トップページ | 村上ファンド裁判 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/138697/4369556

この記事へのトラックバック一覧です: 格差社会の拡大:

» 正しい扶養控除を知りましょう、そして払いすぎてるかもしれない税金を取り戻しませんか? [扶養控除は賢いあなたの嬉しい節税対策!!]
正しい扶養控除を知りましょう、そして払いすぎてるかもしれない税金を取り戻しませんか? 扶養控除は賢いあなたの嬉しい節税対策!! [続きを読む]

受信: 2006年12月15日 (金) 17時04分

« 法人税の引き下げ | トップページ | 村上ファンド裁判 »