« 格差社会の拡大 | トップページ | 来年の税制改正 »

2006年12月 1日 (金)

村上ファンド裁判

村上世彰被告とファンド投資顧問会社のMACアセットマネジメントに対する刑事裁判の初公判が本日30日に東京地裁で開かれました。

日経-村上世彰被告「無罪と確信」・東京地裁で初公判
朝日-村上世彰被告「無罪と確信」 検察側と全面対決の姿勢

村上ファンド事件には、様々な側面があると私は思っていますが、初公判が開かれたこと故、少しだけ書いてみたいと思います。

1) 容疑

証券取引法違反(インサイダー取引)と検察は言っていますが、これは何であるかについてです。

一般的にインサイダー取引と言われているのは、証券取引法第166条の違反ですが、村上被告が起訴されているのは証券取引法第167条の違反です。166条は、会社の役員や従業員である会社関係者が自分の会社の株式等を重要事実の公表前に有利に売買して利益を得ることを禁じた条項です。堤義明コクド前会長は証券取引法違反により懲役2年6月、罰金500万円、執行猶予4年で有罪となっていますが、堤義明による西武鉄道株の売買は、166条の違反です。

村上世彰被告はニッポン放送株の売買で証券取引法違反を問われているのですが、ニッポン放送の関係者から入手した情報(インサイダー情報)を利用したとされているのではなく、ライブドアがニッポン放送株を取得しようとしている情報を入手し、これを利用して株式売買で利益を得たとして起訴されたのです。

では167条はと言うと、続きを読むに入れました。でも、この167条を読んでもピンと来ないはずです。そもそもは、公開買い付け情報を事実の公表前に知って公開買い付けにおいて高く売って利益を得ることを禁止した条文だからです。ライブドアがニッポン放送株をToSTNeT-1による時間外取引により取得したのは、2005年2月8日です。実は、この前の2005年1月17日にフジテレビジョンが子会社化を目的に株式公開買付け(TOB)を開始することを発表していました。参考記事は、これを見て下さい。

11月22日のエントリーで紹介したヒルズ黙示録・最終章によれば、ライブドアが2月8日に取得したニッポン放送株は972万株であり、取得した相手は米サウスイースタン・アセット・マネージメントから348万株、村上ファンドから328万株、米ブランデンスから136万株等であり、村上ファンドから取得したのはこの時の1/3だったのです。

何故167条の違反になるかというと、「これに準ずる行為として政令で定めるもの」に該当すると言うわけです。この政令は証券取引法施行令であり、31条に議決権の5%以上を取得する行為を「これに準ずる行為」として規定しているのです。証券取引法施行令第31条も、続きを読むに入れました。

村上ファンドは当時フジテレビジョンによるTOBに応じて、ニッポン放送株を売っても良かった。しかし、ライブドアにけしかけて、フジテレビジョンに売るより高く売れるなら、その方が良かった。ライブドアが多額の資金調達は困難であろうと予測していたのだろうと思います。だから、ライブドアがニッポン放送取得をギブアップしても良しとしていたのだと私は思うのです。村上ファンドは、2003年7月頃からニッポン放送株を買い始め2004年10月以降に大量に取得を始めたようですが、ライブドアへの高値売却を狙っていたと言うよりは、もしかしたらフジテレビジョンへの高値売却を狙っていたのではないかと思うのです。

村上世彰被告が裁判の結果、証券取引法違反となるのか、私もよく解かりません。今後を見ましょう。

2) 何故村上世彰被告は認めたのか

これについては、村上被告自分の口から今回の公判で「事実に反して有罪だと認めて私一人の逮捕で済ませた。」と言っており、すごい演技をしたのだと思います。でも、実はもう一度、やっているのです。本年6月26日に保釈金5億円で保釈が認められ東京拘置所を出てきました。日経-村上世彰被告、21日ぶり保釈・保証金5億円にも、「同地裁は、同被告が起訴事実を大筋で認めていることなどから、証拠隠滅などのおそれはないと判断したもよう。検察側も準抗告しなかった。」とあるように、保釈の際には証券取引法違反を認めているはずです。例えば、共同-堀江前社長の保釈認める 保証金3億円はホリエモン保釈時のニュースですが、ホリエモンは有罪を認めていませんでした。だから、「裁判所が起訴事実を否認している被告の保釈を初公判の前に認めるのは異例。」と書いています。

「一旦有罪と認め、裁判で戦う。」そんな方法があることを、村上世彰被告は示したのかと思いました。

村上ファンド関連は他にも書きたいことはあるので、また今度書きます。

ブログランキング・にほんブログ村へ

証券取引法

第167条第1項  次の各号に掲げる者(以下この条において「公開買付者等関係者」という。)であつて、第27条の2第1項に規定する株券等で証券取引所に上場されているもの、店頭売買有価証券若しくは取扱有価証券に該当するもの(以下この条において「上場等株券等」という。)の同項に規定する公開買付け(同項本文の規定の適用を受ける場合に限る。)若しくはこれに準ずる行為として政令で定めるもの又は上場株券等の第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付け(以下この条において「公開買付け等」という。)をする者(以下この条において「公開買付者等」という。)公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る上場等株券等又は上場株券等の発行者である会社の発行する株券若しくは新株予約権付社債券その他の政令で定める有価証券(以下この条において「特定株券等」という。)又は当該特定株券等に係るオプションを表示する第二条第一項第十号の二に掲げる有価証券その他の政令で定める有価証券(以下この項において「関連株券等」という。)に係る買付け等(特定株券等又は関連株券等(以下この条において「株券等」という。)の買付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等(株券等の売付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)をしてはならない。当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を次の各号に定めるところにより知つた公開買付者等関係者であつて、当該各号に掲げる公開買付者等関係者でなくなつた後一年以内のものについても、同様とする。
一  当該公開買付者等(その者が法人であるときは、その親会社を含む。以下この項において同じ。)の役員等(当該公開買付者等が法人以外の者であるときは、その代理人又は使用人) その者の職務に関し知つたとき。
二  当該公開買付者等の商法第二百九十三条ノ六第一項 若しくは第二百九十三条ノ八第一項 に定める権利を有する株主又は有限会社法第四十四条ノ三 に定める権利を有する社員(当該株主又は社員が法人であるときはその役員等を、当該株主又は社員が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。) 当該権利の行使に関し知つたとき。
三  当該公開買付者等に対する法令に基づく権限を有する者 当該権限の行使に関し知つたとき。
四  当該公開買付者等と契約を締結している者又は締結の交渉をしている者(その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)であつて、当該公開買付者等が法人であるときはその役員等以外のもの、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人以外のもの 当該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知つたとき。
五  第二号又は前号に掲げる者であつて法人であるものの役員等(その者が役員等である当該法人の他の役員等が、それぞれ第二号又は前号に定めるところにより当該公開買付者等の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を知つた場合におけるその者に限る。) その者の職務に関し知つたとき。

証券取引法

第27条の2  その株券、新株予約権付社債券その他の有価証券で政令で定めるもの(以下この章及び第27条の30の11(第四項を除く。)において「株券等」という。)について有価証券報告書を提出しなければならない発行者の株券等につき、当該発行者以外の者による取引所有価証券市場における有価証券の売買等(競売買の方法以外の方法による有価証券の売買等として内閣総理大臣が定めるもの(第四号において「特定売買等」という。)を除く。第一号において同じ。)による買付け等(株券等の買付けその他の有償の譲受けをいい、これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この節において同じ。)以外の買付け等は、公開買付けによらなければならないただし、次に掲げる株券等の買付け等については、この限りでない。
一  取引所有価証券市場における有価証券の売買等に準ずるものとして政令で定める取引による株券等の買付け等
二  新株予約権を有する者が当該新株予約権を行使することにより行う株券等の買付け等その他の政令で定める株券等の買付け等
三  当該買付け等の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして政令で定める場合を含む。以下この節において同じ。)に係る株券等の株券等所有割合がその者の特別関係者(第七項第一号に掲げる者については、内閣府令で定める者を除く。次号及び第五号において同じ。)の株券等所有割合と合計して百分の五を超えない場合における当該株券等の買付け等
四  特定売買等による株券等の買付け等の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合がその者の特別関係者の株券等所有割合と合計して三分の一を超えない場合における特定売買等による当該株券等の買付け等
五  著しく少数の者から株券等の買付け等を行うものとして政令で定める場合における株券等の買付け等(当該株券等の買付け等を行う者及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が三分の一を超えない場合に限る。)
六  株券等の買付け等を行う者がその者の特別関係者(第七項第一号に掲げる者のうち内閣府令で定めるものに限る。)から行う株券等の買付け等その他政令で定める株券等の買付け等

証券取引法施行規則

(公開買付けに準ずる行為)
第31条  
法第166条第6項第4号 及び第167条第1項 に規定する公開買付けに準ずる行為として政令で定めるものは、証券取引所に上場されており、又は店頭売買有価証券若しくは取扱有価証券に該当する株券(外国法人の発行する証券又は証書で株券の性質を有するものを含む。)の発行者である会社の発行する株券、新株予約権証券、新株予約権付社債券(外国法人の発行する証券又は証書で、これらの有価証券の性質を有するものを含むものとし、内閣府令で定めるものを除く。)又はその他内閣府令で定める有価証券(以下この条において「株券等」という。)を買い集める者(その者と共同して買い集める者がいる場合には、当該共同して買い集める者を含む。以下この条において同じ。)が自己又は他人(仮設人を含む。以下この条において同じ。)の名義をもつて買い集める当該株券等に係る議決権の数(株券(外国法人の発行する証券又は証書で株券の性質を有するものを含む。)については株式に係る議決権の数を、その他のものについては内閣府令で定めるところにより換算した株式に係る議決権の数をいう。以下この条において同じ。)の合計が当該株券等の発行者である会社の総株主の議決権の数の百分の五以上である場合における当該株券等を買い集める行為(以下この条において「買集め行為」という。)とする。ただし、当該株券等を買い集める者の当該買集め行為を開始する直前における株券等所有割合(自己又は他人の名義をもつて所有する当該株券等に係る議決権の数の合計を当該会社の総株主の議決権の数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)が百分の五未満である場合には、当該買集め行為のうち株券等所有割合が百分の五を超える部分に係るものに限る。

証券取引法

第166条第1項  次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第五号から第八号までに規定するものに限る。以下同じ。)当該各号に定めるところにより知つたものは当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け又は有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引若しくは有価証券店頭デリバティブ取引(以下この条において「売買等」という。)をしてはならない。当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後一年以内のものについても、同様とする。
一  当該上場会社等(当該上場会社等の親会社及び子会社を含む。以下この項において同じ。)の役員、代理人、使用人その他の従業者(以下この条及び次条において「役員等」という。) その者の職務に関し知つたとき。
二  当該上場会社等の商法第二百九十三条ノ六第一項 に定める権利を有する株主若しくは優先出資法 に規定する普通出資者のうちこれに類する権利を有するものとして内閣府令で定める者、商法第二百九十三条ノ八第一項 に定める権利を有する株主又は有限会社法 (昭和十三年法律第七十四号)第四十四条ノ三 に定める権利を有する社員(これらの株主、普通出資者又は社員が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条及び次条において同じ。)であるときはその役員等を、これらの株主、普通出資者又は社員が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。) 当該権利の行使に関し知つたとき。
三  当該上場会社等に対する法令に基づく権限を有する者 当該権限の行使に関し知つたとき。
四  当該上場会社等と契約を締結している者又は締結の交渉をしている者(その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)であつて、当該上場会社等の役員等以外のもの 当該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知つたとき。
五  第二号又は前号に掲げる者であつて法人であるものの役員等(その者が役員等である当該法人の他の役員等が、それぞれ第二号又は前号に定めるところにより当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を知つた場合におけるその者に限る。) その者の職務に関し知つたとき。

|

« 格差社会の拡大 | トップページ | 来年の税制改正 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/138697/4377736

この記事へのトラックバック一覧です: 村上ファンド裁判:

» 株の知恵をご紹介します。 [株の知恵]
株の知恵をご紹介します。 秘伝・コツ・カンどころを満載します。楽しく読んで生活のお役に立てばうれしいです。 毎日の生活にお役に立ちますように・・・・ [続きを読む]

受信: 2006年12月 4日 (月) 09時54分

« 格差社会の拡大 | トップページ | 来年の税制改正 »