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2006年12月18日 (月)

自民党の来年の税制改正案

自民党が12月14日付で、来年の税制改正案である平成19年度税制改正大綱を発表しました。ここにあります。

このブログでも11月27日のエントリー「法人税の引き下げ」で経団連の税制に対する提言、12月 3日のエントリー「来年の税制改正」で政府税制調査会の答申について触れたことから、この自民党の税制改正大綱についても書いてみます。

1) 有形固定資産の減価償却

正直言ってスッキリした案と思いました。即ち、減価償却の計算に使用する償却率を改正するのは、2007年4月以降取得した固定資産を対象とし、それ以前に取得した固定資産は従来通りの償却率であるが、従来より償却期間を5年間延長して1円までの償却を認める。面白いと思ったのは、定率法の減価償却率を定額法の償却率の2.5倍にすることです。10年の場合は定額法なら0.1、定率法なら0.25と言うわけです。従来は、定額法は0.9を掛けることから0.09で、定率法は0.206であったことから、最初の1年間について定額法では固定資産取得価額の1%、定率法では4.4%減価償却費が多くなります。余談かも知れませんが、定率法の場合は、残存価額を0円にする償却率は数学的には存在しません。償却率が1でない限りは永遠に掛け算が続きます。定率法として定額法の償却率の250%を使用するのは、米国等で採用されていると思いました。国によっては、税務上の減価償却として定率法を認めていない場合もあると思います。

一種の固定資産の投資促進で、色々掲げた中で、これが経済活性化・国際競争力の強化に一番有効と思われるのですが。

なお、市町村民税の税収の40%以上を占める固定資産税の評価の基礎となる評価方法は現行を維持するとしており、当然のことと思います。但し、固定資産税の評価方法として現行の方法が合理的であるかについては、例えば日本公認会計士協会の租税調査会研究報告第16号「固定資産税のあり方について」の公表にも批判があり、今後の課題として検討をすべきと考えます。

2) 特定同族会社の留保金課税と特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入

特定同族会社の留保金課税については、本年3月の改正で課税対象が狭くなっており、更に資本金1億円以下が対象外と狭まる。でも、ほとんどの中小企業は、留保金課税を払うほど利益がなく、どう評価すべきか解りません。特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入については、本年3月の改正で突然導入され、こちらは逆に多くの中小企業が利益を出すと対象となる、法人税と所得税をゴッチャにしたような嫌な税制です。基準所得金額を1600万円にするというのは、妥当ではないかと思います。なお、基準所得金額とは、「オーナー社長の給与と会社の税前利益の合計の過去3年平均です。法人所得が基準所得金額を超えた場合は、所得税の給与所得控除相当額の損金算入を認めない制度です。資本金1円で会社が設立できるから、こんな制度を新設したとの説明でしたが。最も、この800万円を1600万円に変更するのは、法律ではなく政令ですから、これで決定と考えればよいのでしょうか?

3) 移転価格税制についての租税条約の相手国との相互協議に係る納税猶予制度 

日経10月25日-移転価格税制、追徴最高に・申告漏れ総額2836億円のように移転価格税制による追徴課税が増加しています。今後もっと増加すると思います。何故なら、途上国への生産シフトやグローバリゼーションが更に増大すると思うからです。生産シフトは、1国で完成品まで製造するよりは、A国で第1加工をB国で第2加工をC国でアセンブルをと言った具合に、仕掛品や半完成品が国をまたいで親子関係の会社を行ったり来たりしたら、それぞれの適正価格はいくらか、訳がわからないです。そして、価格の付け方により、日本、A国、B国、C国それぞれの源泉利益は違ってくるので、各国の法人税の取り分は微妙に異なってきますから。

租税条約に基づく相互協議は必要である。むしろ積極的に取り組むべきと思います。その際、納税猶予は与えればよいと思います。なお、納税猶予には国税通則法50条に定められた担保を納税者は提供しなければならない。当然のことと思います。

4) 上場株式に関する所得税

1年延長は証券業界に配慮したことと参議院選に対する対策でしょうか?そのうちに株式についても総合課税制度に移行して欲しいと思うのですが。そうすれば、高齢者で所得の低い人は確定申告で源泉税の還付を受けられる。

5) 寄付金税制(所得税)

寄付金控除の限度額を現行の総所得金額等の30%から40%に引き上げるとしています。総所得金額とは、給与所得控除等は差し引くが社会保険料控除のような所得控除は差し引く前の金額です。総所得金額の30%や40%も寄付を出来る人はある程度の高額所得者になると思うのです。でも、社会のためになる寄付であれば、支出した寄付金額を所得金額から控除するのは当然と思うのです。

寄付金税制で重要なのは、何が社会のためになる寄付金として認定しうるのかという点のはずです。NPO法人にも、もっと拡大すべきと思いますが、一方でNPO法人を隠れ蓑とした制度の悪用を防ぐ手段も確立すべきです。正当な機関(日本では、未だ育っていないので当面は、市町村の地方公務員と市民団体等で構成する委員会の様なものでしょうか?)が認める法人、団体への資金使途を特定した寄付となるのでしょうか?会計報告がなされ会計監査がなされることは、絶対条件にすべきと思います。会計報告についての罰則規定も必要と思います。

税が健全な社会活動をサポートする形になって欲しいと思います。

6) 無駄口

無駄口を一つ。日刊スポーツ12月15日-松坂6年70億円、新人史上最高額というニュースについては誰でも知っています。70億円というのは、6年間で70億円だと思うのですが、契約一時金はこのうちいくらなのでしょうか?何故、このようなことを言うかというと、契約一時金は松坂が日本で所得税の納付義務がある日本居住者として受領する対価のはずです。だから、日本で所得税と住民税を払ってくれる。でも、住民票を米国に移して、米国でプレーすれば、日本で松坂は所得税も住民税も払いません。税法だから、それでよいし、松井も皆そうですから。でも、契約時金が多ければ、日本の税金に少しだけ貢献してくれるのになと、つい思ってしまったのです。

でも米国が全額が米国に帰属するのであり日本には税が発生しないと言うかも知れませんね。3)の移転価格税制と似たようなことになるのでしょうか?

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